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大人のためのADHDナビ

体験談

主婦・Mさんの場合

家事が上手にできなくて、ストレスを溜めこむ毎日でした。

監修:昭和大学医学部 精神医学教室 主任教授
岩波 明 先生

結婚後、家事が苦手な自分に気がついて

Mさんは、4歳の男の子のお母さんです。結婚して専業主婦となり、家事全般を自分で行うことになったのですが、なかなか思うようにはかどりません。結婚前は、実家で母親がすべての家事を行っていたので、何の不自由もなかったのですが、結婚後に「どうやら私は家事が苦手のようだ」と感じるようになってきました。

洗濯物がすぐに干せない、片付けられない

例えば、掃除、洗濯、料理、片付け…。あれもこれもやろうとして、結局、優先順位がわからなくなってしまったり、自分が最初に何をやろうとしていたのか忘れてしまったりすることもありました。

毎朝、子どもを幼稚園に送り出してから洗濯機を回すのがMさんの日課ですが、洗濯機を回している間に別のことが気になってしまい、その後すぐにベランダに干しに行くことができず、夕方近くや夜になってから干したり、ひどいときは翌朝また同じ洗濯物を洗ったりしていました。
片付けや整理整頓も苦手で、部屋にはいつも物が散乱している状態。洋服も子どもの成長とともに増えていき、もうタンスには納まりきりません。片付けよう、整理しなくちゃ、と思うものの、どこから手を付けていいのかわからないのです。
台所のシンクにも汚れた食器が溜まりがち。後で洗おうと思っていても、他のことに気を取られつい忘れてしまうのです。やがて、「他のママはみんな手際よく家事をこなしているのに、どうして私にはできないのだろう…」と思い悩むようになりました。

テレビでADHDの特集を見て

「どうしてもっと段取りよくできないんだろう?」。「そもそも、なぜやる気になれないのだろう?」。そんな考えが頭の中をぐるぐるとめぐって自己嫌悪に陥り、ご主人からは「もっとしっかりしてくれよ」と言われ、Mさんは夜中にひとりで涙を流すこともありました。
そんなある日、Mさんは、テレビのワイドショーの特集企画で“片付けられない主婦”のインタビューを目にしました。番組の中で専門家が、“片付けられないのはADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)の症状のせいだ”とコメントしていました。それを見たMさんは自分との共通点の多さにハッとしました。そして初めて「自分もADHDなのかもしれない」と思い、成人の発達障害の専門外来がある病院を訪ねてみることにしました。

専門医でADHDと診断されて

Mさんは医師に、今まで家事や片付けが苦手でずっと悩んできたこと、そんな自分が嫌で自己嫌悪に陥っていることなどを話しました。そして問診や検査の結果、医師はMさんにADHDの可能性があること、そして家事が段取りよくこなせないのはMさんがだらしないのではなく、ADHDの症状によるものかもしれないことを話しました。Mさんは「ああ、そうだったんだ。」と思いました。
医師からADHDの症状についての説明を受け、いまの生活を改善するために治療を始めてみることにしました。

気持ちにゆとりが出て、笑顔が増えた

Mさんは医師のアドバイスを受け、生活リズムを見直し、毎朝その日のスケジュールを書き出すことを習慣づけることにしました。また、それと同時に薬による治療も始めることにしました。治療を進めていくうちに、Mさんは、「時間の見通しがつくようになり段取りがよくなった」と感じるようになりました。午前中に洗濯や掃除を済ませられる日も増え、だんだんと気持ちにゆとりがでてきました。また、洗濯機を回している間に掃除機をかけたり、料理の下準備をしたり、少しずつ家事を手際よく行えるようになりました。夕方、帰宅した子どもを明るい笑顔で出迎え、簡単なおやつを子どもと一緒に手作りして食べることあります。子どもにも笑顔が増えたような気がしています。

家事へのストレスが少なくなって、前向きな自分に

数ヶ月経つころには、家事に対する苦手意識やストレスはずいぶん減ってゆきました。一日の時間を効率よく使えるようになり、結果的に自分の自由時間が増えました。Mさんは、昔、趣味にしていた写真をまた始めてみようかと考えています。また、ママ友とランチに出かけたりする機会も増えました。
家事や片付けが苦手で、母や妻としての自信を失いかけていたMさんですが、治療を始めてから物事を前向きに考えられるようになり、「毎日が楽しい」と感じるようになりました。
子どものこともいっそう可愛く思えるようになり、これからの成長を旦那さんと一緒に楽しみにしています。

ADHD専門医インタビュー

ADHDの方は、自分の感情や意欲をコントロールして何かをやり遂げることが困難です。何かをするときに、「その方法や手順、時間配分などを考え、計画的に行うこと」がうまくできないのです。

かつて、ADHDは子ども特有の病気だと考えられてきましたが、その症状の一部は大人になっても持続することがあります。うっかりミスや忘れ物が多い、そそっかしい、物事が長続きしない、家事がうまくこなせない、家計の管理が苦手など、大人になってからもそうした悩みを抱えている人が多いのです。
こういった特徴は、「本人の性格のせい」ではなく、ADHDという疾患の症状によるものなのです。それでも周囲からは「やる気がない」「怠け者」などと誤解されたり非難されたりして、自分自信を責めている人も少なくないのが現状です。

ADHDには認知行動療法や薬による治療法があり、適切な治療によって症状の改善が期待できる疾患です。逆に、そのまま放置しておくと、自分に自信がもてなくなり、うつ病などの合併症を併発する可能性もあります。また、Mさんのように、長年思い悩んでいたことが、自分の性格のせいではなく疾患の症状によるものだとわかって救われた、とおっしゃる方も少なくありません。日常生活や仕事でうまくいかないことが多く、「もしかして…」と思い当たるようなことがある方は、ぜひ早めに専門医に相談することをおすすめします。

親子のADHD体験談も掲載しています。

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