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大人のためのADHDナビ

体験談

新社会人・Yさんの場合

忘れ物やミスが多くて、上司に日々注意されていました。

監修:東京医科歯科大学 精神科市川 宏伸 先生

社会人に仲間入り!でも…

大学を卒業して、食品会社の営業職として社会人デビューを果たしたYさん。フレッシュな気持ちで働き始めたものの、遅刻やうっかりミスが目立ち、上司や先輩から注意されて落ち込むことが増えてきました。

うっかりミスが多く、先輩や同僚に迷惑をかけてしまう

ある日、Yさんは、営業で外回りに出かける時間の間際になってから、取引先に持参する大切な書類を用意し忘れていたことに気づきました。Yさんのデスクは物が乱雑に積み上げられており、目的の書類はなかなか見つからず、時間は過ぎていくばかり…。ようやく見つけ出して大急ぎで取引先に駆けつけましたが、約束の時間には大遅刻。取引先はもちろん、先に到着して待っていた先輩にも大きな迷惑をかけてしまいました。肝心の書類は慌てていたので乱暴に鞄に押し込んだために折れ曲がってしまい、さらには日付入りの社印を押し忘れ、取引先からは、「約束や期限を守れないような会社は信用できない。今後の取引は考えさせてもらうよ」と言われてしまいました。とても重要な取引先でしたが、Yさんの失態で会社の信用を失ってしまったのです。

ついつい先延ばしにしてしまい、提出期限に間に合わないことも

仕事を段取りよく計画的に進めることもYさんは苦手です。企画書などの提出物もいつも期限ギリギリで、ときには間に合わないこともあります。企画書を作ろうと思っていても、他のことに目移りして気がそれてしまい、最後まで集中してやり遂げることができないのです。また、書類の提出期限を忘れることも多く、先日は大切な資料を電車の中に忘れて紛失騒ぎになりました。また、仕事の段取りも悪いので、上司からは「もっと気を引き締めて仕事に取り組むように」ときつく指導されていました。

自分の努力が足らないのかも?と思い悩む日々

「どうして自分だけできないのだろう」「頭ではわかっているのに、なぜその通りにできないのだろう」「自分にはこの仕事は向いていないのかもしれない」などと思い悩み、Yさんは会社に行くのが憂鬱になっていました。
そんなとき、大学時代の友人と集まる機会があり、Yさんは自分の状況を打ち明けてみました。すると友人の1人から、「会社に同じようなことで悩んでいる同僚がいるけど、病院で相談したらよくなってきた」という話を聞き、『ADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)』という疾患があることも知りました。帰宅後、インターネットでADHDの症状について調べてみたYさんは、「自分にも当てはまる部分が多いなぁ」と感じました。そして、いまの状況を少しでも改善することができればと思い、一度受診してみることにしました。

専門医でADHDと診断されて

専門外来を予約して受診したYさんは、会社でうっかりミスや忘れ物が多いこと、計画的に仕事を進められないことなどを医師に相談しました。問診のなかで医師から、「子どものころはどうでしたか?」と聞かれ、Yさんはドキリとしました。そして、あらかじめ持参するよう言われていた小学校時代の通知表を医師に見せながら、子どものころから「忘れ物に気をつけましょう」「先生の話をきちんと聞きましょう」「授業中は歩き回らないようにしましょう」などとよく注意されていたことを話しました。
Yさんは医師から、「ADHDの可能性がある」と伝えられました。ADHDには、「不注意(注意力に欠ける、忘れ物が多い)」「多動性(落ち着きがない)」「衝動性(考えなしにすぐ行動する)」といった症状があり、Yさんの会社でのトラブルはADHDの症状のせいかもしれないと説明してくれました。Yさんは、失敗は全部自分の努力不足のせいだと思っていたので少し戸惑いましたが、ADHDの症状を改善する治療法があると聞き、救われた気持ちになりました。

心にゆとりができて、会社が楽しくなってきた

医師はYさんに、まずADHDの症状を理解するとともに、日常生活を見直すことから始めてみましょう、と提案しました。そしてYさんは、医師との定期的な面接を続けながら、対人関係の技能や、注意力、集中力を高めるトレーニングに参加しました。また、ADHDの症状を改善するための薬についても説明を受け、薬物治療も始めました。
薬物治療を始めてからYさんは、会議や打ち合わせに遅刻することも減り、最後まで集中して参加できるようになりました。少しずつ時間を計画的に使えるようになり、忘れ物やうっかりミスも減りました。デスク周辺に乱雑にあふれていた物はすっきりと整理され、心にゆとりができたような気がしています。そして上司や先輩から、「最近がんばっているな」と声をかけられ、仕事に張り合いが出てきました。会社帰りに食事に誘われることも増え、「会社に行くのが楽しい」と思えるようになりました。小さいころから否定的なことを言われることの多かったYさんですが、治療を続けるうちに少しずつ自分に自信がもてるようになり、毎日が充実してきたと感じています。

ADHD専門医インタビュー

ADHDは子どもだけの疾患ではありません
まず「気づくこと」「理解すること」が大切です

ADHDがあるお子さんの多動性、落ち着きのなさには、一貫性やまとまりが認められないことが多くあります。健康なお子さんの場合が、ある行動から別な行動へ移るときは、「興味が移ったから」などのように、大抵の場合、周りにいる人がその行動を理解できます。でも、ADHDの場合、周りの人が予想しにくいことが多いのです。Tくんの場合も同じでした。落ち着きのなさは、しつけだけで直るものではありません。ADHDによる症状かもしれないことを考慮し、気軽に児童発達センターや精神保健福祉センター、児童精神科の外来を受診されることをおすすめします。それによって、専門的な指導やアドバイスを受けたり、ペアレント・トレーニングを学ぶことができ、状況の改善につげることができます。

親子のADHD体験談も掲載しています。

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