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親と子どものためのADHDナビ

体験談

多動・衝動性優勢タイプのADHD

就学前にADHDとわかり、学校との連携がスムーズにできた Nくん(6歳)の場合

監修:国立成育医療研究センター こころの診療部長
小枝 達也 先生

Nくんは、歩き始めるのが早く、小さい頃から目の離せない子でした。保育所でも、お友達のおもちゃを取り上げたり、乱暴な言い方をすることが多く、遊びの輪に入れてもらえないこともありました。

担当の保育士さんは、Nくんの発達障害を疑い、お母さんに受診を勧めましたが、お母さんは、子どもは元気に走りまわるものだし、「その必要はない」と思っていました。

それからしばらくして、Nくんが5歳児健診を受けた時、医師から発達障害の専門家を受診するよう勧められました。3歳児健診では「元気な男の子ですね。問題ありません」と太鼓判を押されていたことから、お母さんはとても驚きました。

専門医を受診し、いろいろな検査の結果、「多動・衝動性優勢タイプのADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)」だと診断されました。医師はお母さんへ、ADHDをもつ子どもへの対応のコツを伝え、まず生活環境を整えることから始めていきましょう、とアドバイスしてくれました。Nくんの両親は、子どもがADHDであることを最初は受け入れられませんでしたが、医師の話を聞いて、一緒に頑張っていこうと前向きに取り組み始めました。

家庭での対応のコツ
  • テレビをつけたまま活動させない(「〜しながら」は避ける)。
  • 声をかけるときは遠くからではなく、近づいて短い言葉で言う。
  • 整理整頓をして、片付けやすいように収納を工夫する。
  • あらかじめ行動のルールを決め、できたらほめる。
  • 同じ活動を長く続けるときは小休止をはさむ。
  • 絵本の読み聞かせをする(人の話を聞く習慣をつけるため)。

周囲の環境を整えることで、Nくんは保育士さんのお話をだいぶん聞けるようになりましたが、まだ勝手な行動はおさまりませんでした。小学校への入学も控えているため、医師に相談し、お薬による治療も開始することにしました。

周囲のケアと服薬を続けていくうちに、お友達とのトラブルが減り、協調して生活できるまでに改善しました。就学前検診でも通常学級での就学可と判断され、両親はほっとしました。

入学前の11月、両親は揃って小学校の校長先生のところに挨拶へ行き、Nくんが「多動タイプのADHD」であることを伝え、そのことを理解したうえで接しほしいと話しました。それと同時に、家庭で行っている工夫と、学校でどのような点に気をつけてほしいかを伝えました。
校長先生は「配慮した対応ができるよう準備しておきましょう」と約束してくださいました。

Nくんのクラスは、以前にもADHDの子どもを受けもったことのあるベテランの先生が担任になりました。先生は、Nくんが他のことに注意がいきそうなときは、声をかけて注意をもどしてくれます。また、連絡帳に「授業中に窓の外が気になっていたようですが、カーテンを閉めると授業に集中しました」などと小さなことでも報告してくれたので、お母さんは安心して先生にお任せすることができました。

Nくんは、授業中に気が散ってしまうこともありますが、お友達もたくさんでき、楽しい学校生活を送っています。休み時間にお友達とドッジボールをするのが楽しみで、将来は「電車の車掌さんになりたい」という夢をもっているようです。

小枝先生からのコメント

ADHDのような発達障害は、3歳児健診では、“子どもらしさ”との判別が難しく、気づかれない、あるいは確定できないことが多くあります。

就学期の児童の環境調整には、学校の協力がとても重要です。そのためにも入学前の早めの段階で受診し、事前に学校へ協力を求めることが大変有用です。何か問題が起こってから打ち明けるよりも、事前に相談しておいたほうが、学校も必要な準備をすることができます。

ADHDのお子さんには、ほめること、認めることで本人が自信をもって生活できるよう、家庭だけでなく学校と連携して支援しましょう。学校生活を楽しく過ごせることでお子さんは自信をもつことができ、この体験が将来に向けて大きな財産となります。

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