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親と子どものためのADHDナビ

体験談

多動タイプのADHD

「育て方が悪かったから」とお母さんが自分を責めていた Tくん(6歳)の場合

監修:こころとそだちのクリニック むすびめ 院長
田中 康雄 先生

Tくんは、1歳前から歩きはじめ、たえず動き回っている活発な子でした。
家では、ちゃんと話もできて、家族のみんなの話もわかります。
優しいところもありますから、お母さんは「生まれつきの性格なのかな」と思っていました。

3歳から入園した幼稚園では、ひどく動き回る、他の園児の遊具を取り上げる、順番を守らない、などのトラブルが絶えませんでした。
幼稚園からの連絡帳には、「また今日もお友だちを叩きました」「また今日も話を聞かずにおしゃべりしています」「今日も外に行ってしまって教室にいませんでした」などと毎日のように書かれてしまいました。「親のしつけが悪いからじゃないの?」と言うお友達のお母さん言葉を耳にしたこともました。

Tくんのお母さんは、自分は子どもの頃、おとなしい性格だったこともあり、Tくんの多動さや落ち着きのなさが男の子特有のものなのか、特別問題視するようなものなのか、わかりませんでした。

小学校1年生の授業参観日のことです。
先生が「わかった人は、手をあげてください」と声をかけるたびに、「ぼく!ぼく!ぼく!」と大声を上げるTくん。
先生が「もう少し静かにしてください」と注意すると、その時は「はーい、わかりました」と元気に答えます。それでも先生がまた質問をすると、すぐに「ぼく!ぼく!ぼく!」と大声で繰り返します。席に着いている時も、落ち着きなくたえずもぞもぞと体を動かしています。
お母さんがいくら注意しても、Tくんの落ち着きのなさはなおらず、近くの発達支援センターに相談したところ、「児童精神科外来」を紹介されました。

児童精神科外来の医師は、Tくん本人とお母さんから、これまで幼稚園や小学校であったことや、いま困っていることなどを尋ねました。
お母さんは、いままでのことを振り返りながら、「私がきちんとしつけをしなかったせいかもしれない」と何度も自分を責める言葉を口にします。
Tくんは、最初はきちんと医師からの質問に答えていましたが、次第に落ち着きなく診療室を出入りするようになりました。

「Tくんは、ADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)の可能性があります。しつけや愛情不足のせいではありませんよ。ADHDは、簡単に言うと脳の機能のアンバランスさから生じるものです。親のせいでも、お子さんのせいでもありません」と医師は優しく言いました。

何度かの診察と検査を経て、医師はTくんのことをADHDと診断しました。
「これからは学校の先生からも情報をいただき、毎日の生活がより良くなるように、みんなでこれからの対策を練りましょう」。医師は、そうアドバイスしてくれました。

お母さんは、ずっと自分の育て方がよくなかったと思って自分を責めていましたが、初めてADHDという障害があることを知りました。子どもの落ち着きのなさの原因がわかって、少しほっとした反面、わが子が他の子と違うと思うと、やはりショックでした。
それでもADHDについて説明を受け特徴を理解することによって、Tくんの行動にも落ち着いて対応できるようになってきました。
ずっと独りで悩んでいましたが、学校の先生や医師に支えられながら、前向きに治療に取り組んでいこうと思っています。

田中先生からのコメント

ADHDがあるお子さんの多動性、落ち着きのなさには、一貫性やまとまりが認められないことが多くあります。健康なお子さんの場合が、ある行動から別な行動へ移るときは、「興味が移ったから」などのように、大抵の場合、周りにいる人がその行動を理解できます。でも、ADHDの場合、周りの人が予想しにくいことが多いのです。Tくんの場合も同じでした。落ち着きのなさは、しつけだけで直るものではありません。ADHDによる症状かもしれないことを考慮し、気軽に児童発達センターや精神保健福祉センター、児童精神科の外来を受診されることをおすすめします。それによって、専門的な指導やアドバイスを受けたり、ペアレント・トレーニングを学ぶことができ、状況の改善につげることができます。

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