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AD/HDに特に関連の深いものが、反抗挑戦性障害と行為障害です。子どものAD/HDの半数近くが反抗挑戦性障害を合併し、また反抗挑戦性障害の一部は行為障害に移行します。さらに、幼児期、学童期におけるAD/HDから、前思春期には反抗挑戦性障害を経て、思春期になると行為障害へと発展し、さらに彼らの一部は少数ながら成人に至って反社会的人格障害に行き着く場合もあります。
以下に、AD/HDに関連した障害について解説します。
同年齢で同じ社会的背景をもっている子どもの行動の正常範囲を明らかに超え、理屈っぽく、頑固で、かんしゃくを起こしやすい、大人の要求や規則に従うことを徹底して拒否するといった、持続する拒否的、敵対的、反抗的、挑発的な行動パターンを示します。ただし、人に暴力をふるったり物を破壊するなどの反社会的な行為は伴わず、その点で行為障害と区別されます。
AD/HDの子どもの約40%が、成長過程において反抗挑戦性障害の診断基準を満たしているとされています。反抗挑戦性障害は、自分をちゃんと認めてほしいというAD/HDの子どもの心の現れという側面があります。
年齢相応に社会的規範やルールが守れず、暴力行為を含めて他人の権利を侵害したり、ものを破壊したりする行為が日常的に出現します。人に暴力をふるったり、動物を傷つけたり、物を破壊したり、物を盗んだりといった反社会的な行為の有無により診断されます。非行と重なる部分もありますが、非行を伴わない行為障害もあります。
行為障害はAD/HDとの合併が多くみられ、諸外国では、合併率は児童期で20〜40%、思春期で44〜50%と報告されています。
自閉性障害は、対人反応、コミュニケーション、行動・興味の3つの領域の発達が著しく低下した障害です。対人反応が未発達であるため他人との関わり合いが持てず、コミュニケーション面でも発達に遅れや偏りがあるため常同的・反復的なことばの繰り返しがみられます。また、興味の対象に偏りがあり、特定の無意味な手順や儀式的行為に対する執着がみられます。
自閉性障害には知的障害を伴うものがほとんどですが、知的障害を伴わず、言語の発達遅延がみられないものをアスペルガー障害といいます。アスペルガー障害では、自閉症状の現れ方が自閉性障害よりも微妙であり、また、対人交流で孤立的な自閉性障害と異なってアスペルガー障害では積極的な場合が少なくありません。
広汎性発達障害の多くがAD/HDに似た多動や不注意症状を呈するため、鑑別診断が非常に重要です。基本的には、興味の偏在、固執・執着、異常な記憶力などで鑑別可能とされていますが、症状の現れ方が微妙なアスペルガー障害との鑑別診断はむずかしい場合があります。
全般的な知的発達に遅れはないものの、聞く、話す、読む、書く、計算する、または推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す状態を指します。
学習障害のある子どもの10〜40%にAD/HDが認められるとされ、また、AD/HDの子どもの約30%に学習障害が合併しているといわれています。
いわゆる「知的障害」と同義で、身体疾患や精神疾患がないにもかかわらず、明らかに知能の働きが標準に達せず、標準的な日常生活を送るには無視しがたい支障がある状態をいいます。知能指数(IQ)により重症度が分類されます。
精神遅滞児の約10%以上がAD/HDの診断基準を満たしているとされていますが、精神遅滞児が求められる水準の高い環境に置かれた場合の落ち着きなさをAD/HDと間違えないように注意する必要があります。
身体を動かしにくい身体疾患があるわけではないのに、運動が下手だったり、絵や文字を書くのが苦手だったりと、いわゆる「不器用さ」が全面に出た状態を指します。
AD/HDなどの発達障害の合併がしばしばみられます。
チック障害とは、突発的に本人の意思と関係なく体の一部の筋肉が動いたり(運動性チック)、声が出てしまう(音声チック)という症状で、一過性チック、慢性チック(運動性チックまたは音声チックのどちらかが1年以上続くもの)、トゥレット障害(運動性チックと音声チックの両方が1年以上続くもの)があります。
トゥレット障害の50〜80%にAD/HDが合併することが知られています。
本人は理不尽であるとわかっていながら、特定の行為(手洗いや施錠の確認など)や行動パターンにとらわれて強迫的に反復する病気です。子どもの場合には、周囲の人、特に母親を症状に巻き込むことがしばしばみられます。周囲の人に強迫的行為が受け入れられないと不安・焦燥感が強くなり、ときにかんしゃくを起こします。
強迫性障害にAD/HDが合併する率は10〜30%程度と考えられています。
不安障害には、広場恐怖や社会恐怖などの恐怖症、パニック障害、全般性不安障害があります。子どもの場合、不安や恐怖を感じることは日常的によくみられ、特に暗闇恐怖や動物恐怖などの特定の恐怖症をもっていることが少なくありません。一方、子どもにおいてはパニック障害はまれです。不安障害には含まれませんが、分離不安障害*もAD/HDの子どもにときどきみられます。
不安障害をもつ子どもの10〜35%にAD/HDがみられ、AD/HDの30%に不安障害がみられます。
以前は子どもにうつ病はないとされていましたが、最近では成人と同様の症状がみられることがわかってきました。子どもの場合には、不登校などの行動や頭痛や吐き気などの身体症状、そしていらいらした気分を通して訴えることが多いのが特徴です。一方、子どもの躁うつ病はまれですが、躁状態がAD/HDの症状と類似しているので注意が必要です。
うつ病をもつ子どもの20〜50%にAD/HDがみられ、AD/HDの10〜30%に気分障害がみられるとの欧米における報告があります。
愛着とは、乳幼児が自己を形成し、他者との健全な人間関係を結ぶ能力を発展させていく上で最も大切な、土台となる母親との情緒的絆と信頼感を発展させるために不可欠な感情と考えられています。
しかし、児童虐待や育児放棄(ネグレクト)などにより、乳幼児期にうまく愛着関係を形成できないと、他者への愛着の形成や人間関係が著しく不安定となる「反応性愛着障害」が生じやすくなります。この反応性愛着障害の症状として、不注意、多動、衝動性がみられることがあります。
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