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親と子どものためのADHDナビ

ADHDを学ぶ

ADHDの鑑別診断と合併症

よく似た疾患や合併症は?

ADHDの診断基準を満たすからといって、即座にADHDだと診断されるわけではありません。というのも、ADHDとよく似た症状を示す他の障害は少なくなく、一見、ADHDと思われる症状でもよく調べてみると他の病気や障害が背後に隠れていることが実際によくあるからです。そのため、神経学的検査や脳波検査、身体的検査などの補助的検査が行われます。
また、気をつけなければならないのが他の病気や障害を合併している場合です。ADHDでは、特に「反抗挑発症」や「素行症」の合併率が高く、「学習症」、「不安症群」や「抑うつ障害群」の合併もよくみられます。これらの合併症があると、ADHDの症状が見極めにくくなる場合があるほか、合併症の有無がADHDの治療経過や予後に大きく影響する可能性があることから、合併症を見逃さずに注意深く診断することが重要になります。

ADHDと紛らわしい疾患との鑑別

ADHDの特徴と紛らわしい症状を示す他の疾患があるため、これらとの鑑別診断を行うことが非常に重要です。ADHDの中心症状や随伴症状と似た症状を呈する疾患には、精神疾患だけでなく、いくつかの身体疾患もあげられています。これらの疾患との鑑別のため、身体的検査などの補助的検査も同時に行われます。

ADHDと類似した症状を示す可能性のある「精神疾患」

ADHDと類似した症状を示す可能性のある「精神疾患」として、主に下記があげられます。

破壊的行動障害

反抗挑発症/反抗挑戦性障害
同年齢で同じ社会的背景をもっている健康な子どもの行動の正常範囲を明らかに超え、理屈っぽく、頑固で、かんしゃくを起こしやすい、大人の要求や規則に従うことを徹底して拒否するといった、持続する拒否的、敵対的、反抗的、挑発的な行動パターンを示します。ただし、人に暴力をふるったり物を破壊するなどの反社会的な行為は伴わず、その点で行為障害と区別されます。
ADHDの子どもの約40%が、成長過程において反抗挑発症/反抗挑戦性障害の診断基準を満たしているとされています。反抗挑発症/反抗挑戦性障害は、自分をちゃんと認めてほしいというADHDの子どもの心の現れという側面があります。

素行症/素行障害
年齢相応に社会的規範やルールが守れず、暴力行為を含めて他人の権利を侵害したり、物を破壊したりする行為が日常的に出現します。人に暴力をふるったり、動物を傷つけたり、物を破壊したり、物を盗んだりといった反社会的な行為の有無により診断されます。非行と重なる部分もありますが、非行を伴わない素行症/素行障害もあります。
素行症/素行障害はADHDとの合併が多くみられ、諸外国では、合併率は児童期で20~40%、思春期で44~50%と報告されています。

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害

「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」は、対人反応、コミュニケーション、行動・興味の3つの領域の発達が著しく低下した障害です。対人反応が未発達であるため他人との関わり合いが持てず、コミュニケーション面でも発達に遅れや偏りがあるため常同的・反復的なことばの繰り返しがみられます。また、興味の対象に偏りがあり、特定の無意味な手順や儀式的行為に対する執着がみられます。
「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」の多くがADHDに似た多動や不注意症状を呈するため、鑑別診断が非常に重要です。基本的には、興味の偏在、固執・執着、異常な記憶力などで鑑別可能とされていますが、症状の現れ方が微妙なので鑑別診断はむずかしい場合があります。

限局性学習症/限局性学習障害

全般的な知的発達に遅れはないものの、聞く、話す、読む、書く、計算する、または推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す状態を指します。
限局性学習症/限局性学習障害のある子どもの10~40%にADHDが認められるとされ、また、ADHDの子どもの約30%に限局性学習症/限局性学習障害が合併しているといわれています。

知的能力障害

身体疾患や精神疾患がないにもかかわらず、明らかに知能の働きが標準に達せず、標準的な日常生活を送るには無視しがたい支障がある状態をいいます。知能指数(IQ)により重症度が分類されます。
知的能力障害児の約10%以上がADHDの診断基準を満たしているとされていますが、知的能力障害児が求められる水準の高い環境に置かれた場合の落ち着きのなさをADHDと間違えないように注意する必要があります。

運動症群/運動障害群(発達性協調運動症など)

身体を動かしにくい身体疾患があるわけではないのに、運動が下手だったり、絵や文字を書くのが苦手だったりと、いわゆる“不器用さ”が全面に出た状態を指します。
ADHDなどの発達障害の合併がしばしばみられます。

チック症群/チック障害群(トゥレット症など)

「チック症群/チック障害群」とは、突発的に本人の意思と関係なく体の一部の筋肉が動いたり(運動性チック)、声が出てしまう(音声チック)という症状で、一過性チック、慢性チック(運動性チックまたは音声チックのどちらかが1年以上続くもの)、トゥレット症(運動性チックと音声チックの両方が1年以上続くもの)があります。
トゥレット症の50~80%にADHDが合併することが知られています。

強迫症/強迫性障害

本人は理不尽であるとわかっていながら、特定の行為(手洗いや施錠の確認など)や行動パターンにとらわれて強迫的に反復する病気です。子どもの場合には、周囲の人、特に母親を症状に巻き込むことがしばしばみられます。周囲の人に強迫的行為が受け入れられないと不安・焦燥感が強くなり、ときにかんしゃくを起こします。
「強迫症/強迫性障害」にADHDが合併する率は10~30%程度と考えられています。

不安症群/不安障害群

「不安症群/不安障害群」には、広場恐怖や社会恐怖などの限局性恐怖症、パニック症、全般不安症があります。子どもの場合、不安や恐怖を感じることは日常的によくみられ、特に暗闇恐怖や動物恐怖などの特定の恐怖症をもっていることが少なくありません。一方、子どもにおいてはパニック障害はまれです。分離不安障害もADHDのお子さんにときどきみられます。不安症群をもつ子どもの10~35%にADHDがみられ、ADHDの30%に不安症群がみられます。

抑うつ障害群(うつ病)・双極性障害(躁うつ病)

以前は子どもにうつ病はないとされていましたが、最近では成人と同様の症状がみられることがわかってきました。子どもの場合には、不登校などの行動や頭痛や吐き気などの身体症状、そしていらいらした気分を通して訴えることが多いのが特徴です。一方、子どもの躁うつ病はまれですが、躁状態がADHDの症状と類似しているので注意が必要です。
うつ病をもつ子どもの20~50%にADHDがみられ、ADHDの10~30%にうつ病・躁うつ病がみられるとの欧米における報告があります。

児童虐待と関連の深い反応性アタッチメント障害(愛着障害)

愛着とは、乳幼児が自己を形成し、他者との健全な人間関係を結ぶ能力を発展させていく上で最も大切な、土台となる母親との情緒的絆と信頼感を発展させるために不可欠な感情と考えられています。
しかし、児童虐待や育児放棄(ネグレクト)などにより、乳幼児期にうまく愛着関係を形成できないと、他者への愛着の形成や人間関係が著しく不安定となる「反応性アタッチメント障害」が生じやすくなります。この反応性アタッチメント障害の症状として、不注意、多動、衝動性がみられることがあります。

ADHDと類似した症状を示す可能性のある「身体疾患」

ADHDと類似した症状を示す可能性のある「身体疾患」として、主に下記があげられます。

てんかん、脳炎後後遺症、頭部外傷後後遺症、甲状腺機能亢進症、副腎白質ジストロフィー、視聴覚障害、睡眠障害、アトピー性皮膚炎 など

大人のADHDを学べて、上手に付き合えるヒントもまとめています。

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